「主役を演じたラジオです」
1959年、ラジオはまだ娯楽の主役でした。米ソ冷戦の緊張を感じつつも世界が明るい未来を信じていました。ソ連のルナ2号が月面に到着し、エルビス・プレスリーやポール・アンカが英国にも流れていました。日本では当時皇太子の今上天皇が美智子様と御成婚され、国民に新しい皇室を強く印象付けた年です。自動車ではTR82と同じ丸みを帯びた流線形のボディーを特徴とするカルマンギアが世界中の若者から支持されました。40数年前、むねをときめかせてラジオ前面の大きなチューニング・ダイアルを回したイギリス人がたくさんいました。このBUSH TR82 は、ロンドンのヴイクトリア&アルバート美術館*1に英国のアーツ・アンド・クラフトとして展示されています。1959年製造のモデルの復刻版で、ブッシュラジオ社の復刻版証明書が付いています。情報伝達のツールではなく、娯楽の主役だったラジオです。
*1ヴイクトリア&アルバート美術館は、サウス・ケンジントン装飾博物館を母体に1857年、ロンドンに設立された。世界中から収集した装飾美術の優作約150万点を蔵する世界最大の装飾美術館である。この美術館は、産業革命による大量生産が英国製品を荒廃させたため、そのデザインの向上を目的として設立された。所蔵品は過去の歴史的な名品だけだはなく、同時代のデザイン作品も積極的に収集し、19世紀中頃から現代までの英国のデザイン運動を支え、啓蒙と普及に努めてきた。 |
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